柴田礼子のカオハガン日記


5日目 4月21日(金) 「触発し合う力は偉大と感じた日」

今日は、楽器作りを試みた。 ここにあるものを利用することで考えたのが、ここではたくさん飲むビールの王冠、缶を使った廃物利用の楽器、自然の素材を使う楽器として貝の楽器を作った。 

王冠のシャラシャラに使う枝や缶ドラムの缶をくくりつける枝はどこにでもあるし、貝ももちろん、すぐに調達できるし、浜辺には、しゃれたビーチコーミングという言葉を使わなくても、いくらでもおもしろい物が落ちていて、私などは、それらを日本に持って帰るのにリストを作りたくなる程だった。 

今回は、あまり工具がないだろうと予想はしていたので、100円ショップで買った、安いけど、なかなか使える工具で、早速加工に取りかかった所、普段は大人が使う工具などは数もそうあるわけではないみたいだし、子供達はあまり触らせてもらえないせいか、工具を使えるのがえらく嬉しい様子であった。 

そんなにたくさんの工具がある訳ではないのに、取り合いをしたりする事もないし、わがままを言ったり、ふてくされる子もいない・・・。 途中で投げ出す子もいない・・・。 さりげなく、大きい子は小さい子を助けているし、私の決して十分ではない英語の説明でも(言える事はビサヤ語で言い、後は英語を先生が訳してくれていたのだ・・・。

でもフィリピンでは小学校から英語の授業があるので、日本の子供達よりはるかに英語を理解しているし、何をやったらいいか理解しようとするし、自分で工夫してどんどん試したりしている。 手取り足取り、懇切丁寧に教えなくても、自分の力で解決しようとしている事が良くわかる。 

大勢の家族がいて、自分の事は自分でやるという習慣が身についているからか、自分で判断する力がちゃんと備わっているような気がする。 それは、すごい事なんだよね、実は・・・。 言われた事しかできないのでは、創意工夫なんていう物は生まれないもの・・・。

楽器作りに入る前に、王冠を使ったゲームをしたり、缶の音の違いを較べたりと私は、殆ど日本でやっている事と同じようなプロセスで進めていった。 

私の中で、今回の活動は、自分がやっている事が基本的に、どこの国でやっても、どんな子供達とやっても通用するのかという事を確認する意味もあったので、そういう点でも、彼らの反応は嬉しい事であり、自分の中でやっと少し自信が出てきたような気がした。 

私が普段思っているように、相手がいて、その存在そのものに意味があり、どういう場合であっても、その存在が私にエネルギーを与えてくれ、それ故に私はまた、相手に何かを返していくことができるのだと実感できるそのこと・・・。 相互触発できるということは、やはりすごい事なのだ・・・。

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